皆さんは flightradar24.com というサイトをご存じでしょうか。
目を凝らして見て頂ければお判りになると思いますが世界中の航空機が今どこを飛んでいるか表示してくれるサイトです。パソコンのブラウザ画面をキャプチャしましたが、iOS/Android向けのアプリもあります。
黄色で表示されている航空機の位置はリアルタイムに更新されます。気になるのはその精度ですが、検証してみることにしました。偶然にも私の自宅上空は航空路(飛行機の道路)として指定されているようです。iPadにFlightradar24(以降FR24)をインストールしベランダに出ました。ベランダ用のサンダルは置いて無いので靴下を脱いで爪先立ちです。FR24の画面上では自宅上空に航空機が近づいてきます。「もう少しだ!もう少しで来るぞ!!」と思ったその時、ジェットエンジン音とともにチカチカとライトを点滅させた航空機が自宅上空を通過しました。「お?ぉ。正確すぎる!」と若干興奮ぎみの私は、汚れた爪先が床に着かないように踵(カカト)歩きで風呂場に向かいながら思いました。「国交省が航空機の位置情報など提供しているハズがないし、どこから情報を得てるんだべか?」
色々調べてみるとFR24に表示される航空機の情報は世界中のボランティアからを得ているようです。
双眼鏡を持ったボランティアが航空機を見張っているのでしょうか?そんな訳はありません。航空機の多くはADS-B(Automatic Dependent Surveillance Broadcast)という信号を発信しています。ADS-B情報には航空機の識別子・現在位置・高度・対気速度などが含まれています。詳しくはWikipediaで“空中衝突防止装置”を検索して下さい。
世界中のボランティアの皆さんは航空機から発信されるADS-B情報を特殊な受信機で受信し、インターネットを介してFR24のサーバへ情報を集めてくれているのです。我々はFR24に集められた情報をパソコンやタブレット、スマホで見ている訳です。
Flightradar24のボランティアに参加したい!
航空機から発信される情報を一般人が受信するってだけでもワクワクするのに(私は航空マニアではありません)、ボランティアが協力し合って世界の空を網羅しているなんて素敵ですよね。すっかり脳内にドーパミンが放出されてしまった私は、私もFR24のボランティアに参加したい!と思い始めました。
航空機が送信しているADS-B情報を受信しFR24サーバに提供するまでに必要なものを一覧にしてみました。ワンセグチューナーとアンテナさえ手に入れれば、後は簡単に入手出来るものばかりです。
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ADS-B信号の受信機
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アンテナ(半田ゴテを握れれば自作可能)
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パソコン
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ワンセグチューナーをSDRにするソフト(SDR#)
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SDRで受信したADS-B情報を文字情報に復号するソフト(ADSB#)
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文字情報を地図上にプロットするソフト(adsbSCOPE)
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FR24サーバに情報をフィードするソフト(flightradar24)
まずはADS-Bの受信機を手に入れよう!
ボランティアするためにはまずADS-Bの受信機を手に入れなくてはなりません。海外通販で70,000~100,000円もするようです。サラリーマンのお小遣い事情では衝動買い出来ません。サラリーマンの限界はここまでか...諦めかけた頃、ネットで素晴らしい情報を入手しました。
なんと1,000円以下で買えるような安いワンセグチューナー(PCでTVが見られるようになるやつ)がSDR(ソフトウェアラジオ:Software Defined Radio)になるというのです。ただしICチップにRTL2832Uが使われている必要があります。
SDRは電子回路に変更なく周波数帯や変調方式をソフトウェアで変更出来る凄いやつなのです。(私は無線マニアではありません)
ワンセグチューナーを使ったSDRの受信周波数範囲は64MHz~1700MHzなので航空機から1090MHzで発信されるADS-Bの電波もばっちり受信出来ます。もちろん皆さんよく御存じのTOKYO FMやAIR-Gも受信できます。
買ったままの状態でも使用出来ますが長時間使用するとワンセグチューナーが高温になり、受信周波数が安定しなくなるそうです。水晶振動子を日本製に交換する対策が必要との情報を得ました。私はさらに性能が良い温度補償型の水晶発振器に交換済みのワンセグチューナーを購入しました。水晶振動子と水晶発振器の違いはgoogle先生に聞いて下さい。(私は電子工作マニアではないので)
さらなる高温対策として熱くなる部品にヒートシンクも取り付けました。これで高温対策は万全?です。
ワンセグチューナーでラジオを聞いてみよう
ワンセグチューナーをSDRにするソフト(SDR#)をPCにインストールしたら、ちゃんと機能するか実験です。まずはTOKYO FMの周波数を受信してみます。よし!受信成功!!パソコンからTOKYO FMの音声が聞こえてきます。FFT(高速フーリエ変換)解析されたスペクトルが眩しく見えます。これでワンセグチューナーがSDRとして正常に動作していることが確認出来ました。再び私の脳内にはドーパミンが大量放出です。
ワンセグチューナーでADS-B情報を受信してみよう!
SDRが正常に動作していることを確認出来たので続いてワンセグチューナーが受信した1090MHzの電波をADS-B情報としてデコードするソフト(ADSB#)をインストールします。こちらは味も素っ気もないシンプルなインターフェースですが右上の方に表示されている。「Frames/Sec」に数値が表示されていればなにか受信している証です。今回は22と表示されていますね。正常に動作しているようです。あまりにあっさりした画面なのでドーパミンは出ませんでした。
ADS-B情報を画面に表示してみよう!
続いてADS-B情報を地図上に表示するソフトもインストールします。ばっちり地図上に機影が表示されています。航空機の情報はFR24サーバから得た情報ではなく “私のワンセグチューナーが” 受信したものです。大切な事なので繰り返します。“私が受信した” ADS-B情報が画面に表示されているのです。嬉しいのでもう一回ぐらい繰り返したいですが止めておきます。
flightradar24サーバへデータを送信しよう!
FR24のサーバへデータを送信するソフト(名称不明)をFR24のサイトからダウンロードします。実行後、自宅の緯度経度やメールアドレスを入力したのち数分放置しておくと認証を受けられます。メールで送られてくる共有キーを入力してStartボタンを押せばボランティアとしてFR24へのデータ送信が開始されます。
これで私もFR24ボランティアの一員です。
世界中のまだ見ぬアミーゴ達が遠い国、日本で“私が受信した"ADS-B情報をFR24経由で見ているかもしれないのです!ドバーッ!(ドーパミンやらアドレナリンやら大量放出のイメージ)
次回へ続く