世界遺産紀行 秘境編

皆様もニュース等でご存知かと思いますが、
この度「富岡製糸場と絹産業遺産群」(群馬県)が
ユネスコの世界文化遺産に登録される見通しとなりました。

ASE群馬担当(巷で言われるほど秘境ではありませんよ!)の私としては
居ても立ってもいられず、霧雨の降る中、早速見学に行ってきました。

「富岡製糸場と絹産業遺産群」は四つの地域に点在する資産で構成されますが、
今回訪れたのは、メインとなる「富岡製糸場」です。
明治政府の富国強兵・殖産興業政策の一環として建てられた当時世界最大級の製糸工場で、
開国以降最大の輸出品であった生糸(絹)の品質改善・生産向上を通じて
日本の近代化に大きな役割を果たし、現在もほぼ完全な形で残っている貴重な文化財です。

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製糸場の全体図はこのようになっています。

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製糸場に入ってすぐに見えてくる「東繭倉庫」です。
「木骨レンガ造」という珍しい工法で建造されています。

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東繭倉庫中央のアーチをくぐって奥へ進むと「西繭倉庫」も見えてきます。

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東繭倉庫の外側から南へ回ると、生糸の生産拠点だった「繰糸場」の入口があります。

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繰糸場内部は柱の無い「トラス構造」により広い空間を確保しています。
上部のトラスという三角形の骨組みにより屋根を支えています。

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保存されている自動繰糸機は昭和30年代後半に日本で開発された「ニッサンHR型」で、
繭の供給から生糸の太さ調節まですべて自動で行うことができます。

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自動繰糸機の概要パネルや、機械が動く様子を映像で見られるコーナーもあります。

見学ポイントはそれほど多くなく(建物の中まで入れるのは東繭倉庫と繰糸場のみ)、
混雑具合にもよりますが、1時間で回れるくらいのボリュームでした。
全体的に派手さは無いものの、レトロな雰囲気を堪能することができました。

個人的には自動繰糸機の複雑な機構がズラッと並んでいる光景にロマンを感じました。
人の作業や経験知の自動化は、今後さらに発展の見込まれるITやロボット産業にも通じる
重要なテーマだと思いますが、その原点ともいえる日本の技術力を垣間見る事ができたと思います。

皆様も機会がありましたら、100年以上に渡り絹産業の発展を支えた景色を間近に眺めながら、
近代日本の歴史に思いを馳せてみるのもまた一興ではないでしょうか。

ASE群馬担当 I