1999年公開の映画『鉄道員』(ぽっぽや)をご覧になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
映画に出てきた「幌舞駅」のロケ地、根室本線幾寅駅には『鉄道員』由来記念の様々なあれこれがいらっしゃいます。
幾寅(幌舞)駅を先ずはご紹介
駅の中には展示スペースが広く取られており、様々な記念の品が置かれております。
駅から出ると、ロケで使った建物も色々と残っております。(今とは一部配置が違っている時代の画です。)
そして、これら由来を記した説明板。
この「あなたにも、やさしい奇蹟が・・・」というフレーズを目にしたとき、映画のあのシーン、このシーンが鮮やかによみがえってくるようで、今回のタイトルにもお借りしました。
さて、この『鉄道員』ですが、第23回日本アカデミー賞では最優秀作品賞・最優秀監督賞・最優秀脚本賞・最優秀主演男優賞・最優秀主演女優賞・最優 秀助演男優賞と最優秀助演女優賞以外の全てを『鉄道員』で受賞するなど、日本映画の『金字塔』、と言うともしかしたらオーバーかもしれませんが、『銀字 塔』なら文句付ける人も居るまいと思われる秀作だと思います。
そしてまた、もし最優秀鉄車輌賞というのがあれば、これもまた『鉄道員』に出演した『鉄道員号』(ぽっぽや号)のキハ12 23(キハ40 764改造)が受賞したであろうことにも、文句を付ける人は居ないと信じております。
そんな『鉄道員号』は映画のロケが終わった後も、ぽっぽやの匂いをさらに加えて走り続けておりました。
元気に活躍していた頃の、2004/12/04の画像を。
旭川駅にて。偶然出会いました。
車輌には『鉄道員号』としての"キハ12 23"と、種車(改造元)の"キハ40 764"の両方が記されておりました。
車輌入口から『鉄道員』の香りが満載。
車輌の中も『鉄道員』と共に。
言わば、走る「鉄道員」記念号。知らない人が見たら、ただの古いディーゼルカー。
発車オ~ライ。
そして2005/06/29、北海道新聞のサイトに"「鉄道員(ぽっぽや)」ロケの気動車解体へ"と題した記事が載り、この『鉄道員号』が"老朽化のため、近く解体されることにな"り、"引退セレモニーはなく"このまま静かに消え去ることを伝えました。
私個人としては、この記事が伝えられるより前の2005/04/02に
と苗穂工場に来ていたのを見ていたため、ちょっと気になっていたところでのニュースでした。
記事が出てからは気もそぞろで、毎週のように苗穂に通っては状況をチェック。
そして真夏の2005/08/07、ついに例の位置に『鉄道員号』が現れました。いよいよか…
そして次の週、2005/08/13、そこに『鉄道員号』の姿は無く、既に解体が終わってしまったのか!!と。
しかし次の週、2005/08/19、再び戻ってきておりました。決まっているとはいえ、まだ解体を免れた姿を見て少し安堵。
ちょっとホッとしたのも束の間、次の週、2005/08/27にはついに!!真っ二つとはこのことかっ!!と。
この日は苗穂工場内の鉄道技術館の開館日だったので、工場内に入ることができました。近くから。
少しアップで。
パノラマ風味で。致し方無しとはいえ、残念。合掌。
普通であれば、何ぼ乙女が感傷にひたろうとも、ここで話は終わりです。巫女さんの力をもってしても、やはり終わっていたでしょう。
この次の週末、2005/09/04、新得方面に行こうとしていて幾寅駅を通りかかったところ・・・
幾寅駅に差掛かったところで、見たことのある車輌が目に飛び込んできました。(真ん中にちっちゃく見えている奴です。)
予定変更。幾寅駅で下車。そこで見えたものは・・・。真っ二つになっていたのは、つまりこういうことだったんですか・・・。
切断面が少々痛々しく・・・
痛々しくはありましたが、それでも嬉しい再会。
さすがに幾寅となると毎週通うのも難しく、次に訪れることができたのはほぼ一箇月半後2005/10/23になってしまいました。
降り立ってみると、『鉄道員号』の切断面には小屋(?)が作られ、カバーされておりました。
そして『鉄道員号』内部は公開中。
車内を見ると、以前の『鉄道員号』が戻ってきたような。
一度はお別れした『鉄道員号』、それが半身だけでも残ってくれたのは、まさしく「やさしい奇蹟」でありました。
あれから7年半が経ちましたが、『鉄道員号』は変わらず幾寅駅の前で、今シーズンの豪雪にも耐え、ひっそりおやすみになっておます。(2013/02/11)
長いことお付き合いいただき有り難うございました。
最後は西洋の奇蹟もお借りして、ある年のクリスマス・イブの幾寅駅と『鉄道員号』でお別れします。
これをご覧の皆様にも、ご覧になっていない皆々様にも、どうかやさしい奇蹟が舞い降りますように。
(お贈りしている輩がシングル・ベルですから、あまり期待はしないでくださいね)
ではまた。おやすみなさい。