年が明けて2013年、皆さん今年もよろしくお願いいたします。
1年の最初の贈り物である年賀状。
今回は昨年末に作成した私の木版画の年賀状の創作風景を紹介します。
木版画の構図ですが・・・・
季節を問わずに年一回は鎌倉に足を運んでいます。昨年は紅葉時期の12月に鎌倉散策。そのとき長谷寺で目に留まった「和み地蔵」。今年はこれに決めました。
★長谷寺の「和み地蔵」と紅葉
この表情なんとも和みます…、紅葉もきれい!
★下絵スケッチ
「和み地蔵」に、もみじを合わせて
構図が決まり!
★ 木版画の道具
さて、木版画工程にかかります。
木版画に必要な道具ですが 刷毛と水彩絵の具用の筆、油性絵具、ポスターカラー、筆洗い、絵皿、バレン、ローラー、彫刻刀、版木、糊、カーボン紙など用意。
★ 色付け
スケッチした下絵に、絵の具で地蔵ともみじの配色を決めます。
★版木へカーボン紙でトレース
←下絵にトレース紙をあて鉛筆で輪郭を描きます。
←版木に輪郭を描くのですが、ご存知のとおり版画は刷ると正反対になるので、カーボン紙をあてた後、輪郭を描いたトレース紙は"裏がえし"に重ねます。
←トレース紙の輪郭線をなぞると、下絵とは正反対の絵が版木に写ります。
そして、今回は多色刷りのため、色ごとに版木を分けます。
★版木を彫る
多色刷りするための複数の版木をせっせと彫ります。
←色分けする版木が出来上がり!
★版木に色をつける
←版木に絵の具で色を作る段階で、糊を混ぜて粘性を出しています。
←1枚のはがきに部位毎の版木を塗り重ねひとつの絵柄を完成させます。
念入りな部分が刷り上りが期待外れだったり、逆に失敗したような部分が良い結果になることも・・・
もみじの色の、にじむ表現は、版木に赤色を塗ったあとに橙色をちょっと混ぜると刷り上がりは混ざり合って、にじむ色がなんとも言えない紅葉の雰囲気がでます。
これで試し刷りが終了!
★試作品の完成
自分の名前を彫った印で押印。
新しい年の年賀状の試作品の出来上がりです!
さぁーて、ここから、気合を入れて150枚の年賀状を完成させます。
黙々と思いをこめて印刷へ・・・
★送付枚数の印刷と乾燥
せっせとローラーで刷ります (汗)
床一面 お地蔵さんだらけで足の踏み場もありません。
刷ることを繰り返ししていくと、凹んだ部分に絵の具が入り込み溜まってしまい絵がつぶれてしまうので、版木は何十枚か毎に版木を洗い、印刷していきます。
何枚刷るのかというと、150枚×(版木の種類5+押印)=・・・
えーと、計算したくありません。
刷るのは集中も必要。混詰めていくと・・・・意識が遠のいていきます。
さすがに続かないので、何日かで刷り上げていきます。
★完成品
お届けの一枚、出来上がり!
<最後に>
木版画にする構図は自分にとって一番時間をかける工程です。
毎年悩みますが、楽しみでもあります。昔は干支でしたが、近年は、心に響いた冬の風景や花が多いです。
木版画となる下絵はあくまでも構図(こんな風に仕上がったらいいなー)であって完成品ではありません。 版画の刷り上りは、自分が思い描いた絵とは違った意外な絵が出来上がります。絵の具の塗り方、刷り方、部屋の温度湿度と版木の状態などが重なり、にじみ・かすれに現れ、なんとも良い味が出る。それがいい。どんな絵が仕上がるのかと、はがきをはがす瞬間笑みが出る。 学生時代、あの日 味わった心に染み入る、なんとも切ない絵・・・自分でも作りたい。それは、綺麗、丁寧につくったものではなく、手をかけなく器用でない絵だったけど、味があり、何故か心に染み込んでくる。 それを追い求めながら、これからも木版画は止められません。
創作で途中挫けそうになったときは、和み地蔵の写真をみて癒され・・・ 営業の k.kより.