帰省の前に。。(後編)

(前編のあらすじ)

北海道に帰省するときには、緑色のカマキリを持っていくという約束を守るため、 
自宅から約2時間の距離の森林公園で、灼熱の中で約2時間の奮闘の末に 
やっと捕まえた緑色のカマキリ。でも、これがまた大変なことに。。。

 

北海道に持って行くまでの間、必然的に家で飼わなくちゃならないことに気付く。 
しかし、餌は動くものしか興味がないのだ。生きた昆虫が必要なのだ。

餌はバッタ、コオロギ、チョウ、ハエ等だが、自宅近くの多摩川河川敷で 
手ごろな大きさの昆虫を探すも、見当たらない。 
東京って、こんなにも昆虫がいないんだな、と実感する。 
(ゴキブリはいる。いるけど、さすがに、"やつ"は怖くて捕まえられない。)

そういえば、渓流釣りに使うブドウ虫はどうか?とひらめく。 
簡単に言うと蛾の幼虫なのですが、こいつなら動くから反応してくれるかも。 
早速、釣具屋で購入して与えてみると、見事に食いついた!

餌を食べるときは、まさにハンター。 
動いている虫を見つけると、首がキュッと動き獲物をロックオン、そして 
近くまで寄っていって、まるで小枝が少しユラユラゆれるような状態で待つ。 
そして、パッと素早く両腕のカマで挟んで捕獲。 
すかさず、美味しそうにむしゃむしゃ。。。。。食べっぷり、すごい!

観察することでわかることが沢山あって面白いし、癒される。 
いつの間にか"カマちゃん"と名付けて呼んでいる自分に気がつく。

1日中見ていたいが、会社があるので出勤。 
しかし仕事していても、"カマちゃん"生きているかな?餌は足りてるかな?等 
心配ごとが増えてしまった。

そして10日後、帰省当日の羽田空港での出来事。

鞄に虫かごを入れて、いざ搭乗。でも、まっ待てよ。。。。 
直前になって気がついたのだが、そもそも昆虫は、機内持込OKなのか? 
思わぬ関門である! 
どうしようもないので、そのままゲートを潜る。(犯罪者の気持ちがわかる) 
あ~、ベルトコンベアー上の鞄の中の虫かごが画面に映っている~。

・・・・でも機内持ち込みに引っかかるかと思いきや、素通り。 
どうやら、昆虫の機内持ち込みはOKらしい。

そして実家到着。 
とうとう、知り合いの子供に渡す日。

子供に渡すと、開口一番、 
「うわ~、カマキリだ、ありがとう!」  
満面の笑みを浮かべて受け取ってくれた。

いや~、苦労のし甲斐があった。 
何かちょっとした仕事終えたという満足感を得る。 
でもその直後、手放すさびしい気持ちに。。。。 
"元気でな、カマちゃん、"(心の中の声)

その後、帰京の飛行機の中、色々思いました。 
炎天下の中つらくて、熱中症になるかもしれなのに、 
カマキリ採集は、何であんなにも力が入ってしまったのか?

あの子供の満面の笑み・・・・相手が喜んでくれ、感謝された時は嬉しい。 
他人の幸せを一番に考えることによって、何故か心にグッと湧き上がるパワー。

『他人の喜びが、自分の活力になるのだ』と改めて気付かされた。 
それと合わせて、自分もカマキリにハマッテしまっていることに気付く。

さて、今年も帰省前に七沢森林公園に繰り出すか!!!

 

by. K.K

 

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