いけばなのススメ

皆さんは「いけばな」と聞くと、どのような印象を受けますか?

「上品そう」「着物でいけてるの?」など、堅苦しいイメージをお持ちの方も 
いらっしゃるかもしれません。

もちろん伝統に基づいたいけ方もありますが、意外と「へぇ~」っと 
思うことも多いんですよ。今回は、そんなプチ話をご紹介させていただきます。

まず私が所属している流派は「池坊」です。 
室町時代から続く池坊は、今年550年目を迎える為、日本各地で花展開催中です。 
そんな中、私たち札幌支部青年部も、先月ミニ花展を開催しました。

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 会場は喫茶店内の
  ギャラリーでした

2日間のささやかな花展でしたが、220名ほどのお客様がいらっしゃいました。 
ご来場の皆様、本当にありがとうございましたm(__)m

さて、そんな盛況だった花展から「いけばなワールド」にご案内致します!

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①いけこみ 
花展での展示作品の制作を「いけこみ」といいます。 
写真からもお分かりのように、誰も着物を着ておりません。 
お正月の「初いけ」など正装することもありますが、普段のお稽古でも着ません(^^;)

いけこみは、まず大荷物を花展会場へ運ぶところからスタートします。 
花器、予備も含めての花材、鋏や針金の道具類、席札(名前プレート)、ゴミ袋、 
新聞紙など、合計すると10kg近くになるので、まず「体力」が必要です(笑)

しかも製作中は夢中になってしまい、気付くと数時間は中腰で立ちっぱなしです。 
そのため後で体が痛くなります。とても上品とはいえません・・・(><)

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 いけこみ中です

 かなり雑然としていますね・・・

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 いけこみ完了です。

 これで、お客様をお迎えできます!

 

②手直し 
お客様が来場される前の作品の最終チェックが「手直し」です。 
花がしおれていれば取り替えたり、お花の水遣りをします。

花が痛んでいれば、いけなおさなければならないので、泣きたくなります(TT) 
しかも手直しの時間は1時間以内と短時間なことが多いので、私は、 
なくべく丈夫な花を選びます。

今回は黒い花器との相性も考え、鮮やかな黄色いヒマワリや赤のトウガラシを 
選びました。

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 私の作品は自由花です。

 丸くて黒い花器にあわせ、

 丸くて反対色の白い装飾

 材料を使いました。

 

③展示 
今回は中作~小品あわせて16点の展示でした。 
いけ方の形式としては、大きく下記の3パターンがあるので、ご紹介します。

【立花(りっか)】 
仏教の僧が仏前に花を捧げたのが起源であるため、ある程度いけ方が決まっています。 
こちらは男性がいけたんですよ。

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 立花のいけ方は、きちんとした手順が

 あるので難しいです。

 針金などの多くの下準備もあるので、

 制作にも、とても時間がかかります。

 

【生花(しょうか)】 
草木それぞれの自然な姿を表現するので、ある程度いけ方が決まっています。 
秋という季節柄、枯れかけたイメージでいけるので、あえて少し黄色い葉も 
使っています。

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 自然ないけ方が趣旨なので、太陽の向きを

 想定して花の位置などが決まっています。

 生花はごまかしがきかないため、いけるのが

 難しいです。
 

【自由花(じゆうか)】
自分の好きなようにいけられます。実はこの作品の花器は、傘立なんです(笑)

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 本来の傘立は黒かったそうですが、

 今回の作品のため、黄色くスプレー

 してしまったそうです(笑)

 

【共同作品】

秋らしいイメージで、出瓶者みんなで制作しました。 
花器はワイングラスを使っています。

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 爽やかな秋空にコスモスが

 楽しげに咲いているイメージで

 いけました♪

 

③撤花

文字通り撤収作業を「撤花(てっか)」といいます。 
あれだけ制作には何時間もかけたのに、撤花は30分もかかりません(苦笑)

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上記が大まかな花展の流れになりますが、いかがでしたでしょうか? 
少しでも面白いと思っていただたら嬉しいです(^^)

いけばなの面白さは、一期一会に尽きると思います。 
同じヒマワリでも、花の大きさ、色合いの濃淡、花の向きなど、毎回何かが違います。

そのため極論を言うと、お稽古でいけた作品と花展当日の作品は、 
一見同じようでも違う作品なのです。

また会場の照明が暗ければ、急きょ明るい色の花に変更することもあります。 
たった一箇所、ちょっと花の向きや色を変えるだけで、作品の表情が変わるのが 
不思議です。だからこそ、面白いのでしょう(^^)v

自然のものに触れたり見るだけでも、リラックス効果があるそうです。 
もし花展など「いけばな」に触れる機会がありましたら、是非お気軽に 
足を運んでみてくださいね。

 H.S